BL◆父の肖像
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     * * *

 拓見は熱を出し、二日学校を休んだ。
 その間昭義は、仕事の合間に拓見の部屋へ来ては、なにくれとなく面倒をみた。三度の食事に、着替え、額を冷やす濡れタオルの交換。
 それらのすべてを、拓見は夢見心地に知覚していた。ぼんやりと目を覚ますたび、通りすぎる温もりに安心し、ふたたび眠りに落ちる。母が生きていたころの安らぎが、そこにはあった。
 起こさないようにそっと頭を持ちあげられ、静かに氷枕が入れかえられる。深く寝入っていると思ったのだろう。温かな息が頬にかかり、つづいてなめらかな皮膚が瞼をついばんだ。
「……父さん……」
 離れようとする昭義を、拓見はもうろうとしたまま捕まえた。
「どうして……どうしてこんなことするの……?」
 昭義の穏やかな目が、つかのま迷うように煌めいた。
「……僕が、母さんに似てるから……?」
 答えない昭義の背中に両手をまわし、拓見は静かに引きよせた。恋人を求める少女のように、そろそろとその体をかきいだく。
「父さん……僕はね……」
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まろやか連載小説 1.41