BL◆父の肖像
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− 02 −
 久しぶりに外食でもしようと、三人で繁華街を歩いていたときのことだった。
 前方の画材店から出てきた人物を見て、拓見は反射的に足をとめた。
 昭義だった。彼も拓見に気づいたらしく、数秒遅れて立ちどまった。
「拓見?」
 敏の声に我に返った拓見は、すっと目をそらして昭義の横を通りすぎた。昭義は立ちどまったまま見つめつづけたが、呼びかけることも追ってくることもなかった。
「なかなかいい男だな」
 充分離れてから、須藤が感想を述べた。
「彼氏か?」
「……親父」
 拓見の答えに、須藤はちょっと目を丸くした。
「へえ……あんまり似てないな」
「そうかな?」
 敏が反論した。
「俺は似てると思ったけど……雰囲気とか」
「僕は母親似だから」
 言いながら拓見は、ちらりと後ろを振りかえった。昭義の姿はもう見えなかった。
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まろやか連載小説 1.41