BL◆MAN-MADE ORGANISM
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第2章/星を渡る船
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 手足に力をこめると、拘束具が皮膚にこすれてざわつくような性感を呼び起こした。身じろぎすると背面に植え付けられた官能細胞がいっせいに刺激され、じっとしていることもできないほどの疼きが神経を掻き乱す。
 連鎖的に膨れあがるすさまじい官能に責めたてられて、ライナーは闇雲にもがき、狂ったように声を上げつづけた。
 体表のほとんどを埋めつくし、外性器への植付も終わった調整作業は、今は直腸内の段階に進んでいる。
 両足を開いた形で厳重に固定され、器具で広げられた体腔を容赦なく探られた。探られながら針を打たれ、苦痛に飛び上がれば、それを上回る官能に全身を貫かれる。意識は寸断され、秩序立った思考は失われ、はじめに感じた屈辱や恐怖はもはや認識されることもない。
 立て続けに放出して枯れ果てた男根は、それでもまだ起き上がろうと、蜜にまみれたまま瀕死の生き物のようにあがいている。
「……まるでゴーモンだな」
 傍らで見学していた医務室の本来の主が、そっと口笛を吹いて感想を述べた。豪胆な面構えの壮年の男だ。船医の肩書きを持ちながら、一方では他の船員に交じって荒仕事もこなしているのだろう。頬に癒えたばかりの向こう傷が残っている。
「俺はセクサロイドとやったことがあるが、こんなんじゃなかったぜ」
「これは特別なんだ」
 ライナーの足の間に顔を入れたまま、初老の医師はつまらなそうに答えた。
「ふつうは通り一遍の反応しかせんよ。もっと手荒く扱っても、それほど後ろめたい気分にはならないんだが、これはな……待て、触るな!」
 何気なくライナーの体に手を伸ばした船医を、セクサロイド専門医は激しい剣幕でしかりつけた。
「安定前に勝手に触ったらいかん! 官能細胞は神経系と密接に絡みあっているんだ。気を付けないと障害が出る」
 船医は鼻白み、宙に浮いた手を頭に持っていってぽりぽり掻いた。
「そんなにカッカしなくても……ただのおもちゃだろうがよ」
「だからって、無闇に壊していいという法はないだろう」
 初老の医師の真剣な抗議に、船医は黙って肩をすくめてみせた。
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まろやか連載小説 1.41