武骨な手。そして市村とのキスシーン。二人の裸体が絡みあうところを想像して、拓見は眉間にしわを寄せた。「なあ」 拓見はきいた。「目立つかな……キスマーク」「さあ……俺は、兄貴の見てたからわかったけど」 佐藤は目をぱちぱちさせて言った。「ふつうのやつは、なんの跡かわからないんじゃねーの? ……ま、心配しなくてもさ、俺、ほかのやつに言うつもりはないから」 佐藤の目に羨望とかすかな尊敬の色まで見て、拓見は、そうじゃないんだけど、と胸の内でつぶやいた。