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武骨な手。そして市村とのキスシーン。二人の裸体が絡みあうところを想像して、拓見は眉間にしわを寄せた。
「なあ」
 拓見はきいた。
「目立つかな……キスマーク」
「さあ……俺は、兄貴の見てたからわかったけど」
 佐藤は目をぱちぱちさせて言った。
「ふつうのやつは、なんの跡かわからないんじゃねーの? ……ま、心配しなくてもさ、俺、ほかのやつに言うつもりはないから」
 佐藤の目に羨望とかすかな尊敬の色まで見て、拓見は、そうじゃないんだけど、と胸の内でつぶやいた。


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2013/10/01update

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