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手首の中の記憶

こんなニュースがあった。

>空き巣に入り現金などを盗んだとして京都府警は2日、窃盗容疑で住所不定、無職、柏原一美容疑者(57)を逮捕した。府警が同日、大阪府警の「見当たり捜査班」に柏原容疑者の顔写真を提供して協力を求めたところ、その日のうちに写真と酷似した柏原容疑者が見つかり、逮捕につながった。(サンケイ新聞 8月3日)

>故意に車にぶつかる「当たり屋」で示談金名目に現金をだまし取ったとして、奈良西署は5日、詐欺容疑で指名手配中の住所不定、無職、荒井敏明容疑者(60)を逮捕した。荒井容疑者は大阪市内で大阪府警捜査共助課の見当たり捜査員に発見された。(サンケイ新聞 8月6日)

見当たり捜査というのは、捜査員1人が500人ぐらいの顔を覚えておいて、パトロール中に見つける手法らしい。

警官の中から、映像記憶が得意な人を選ぶのかもしれない。

妹の元担任の先生とお会いする機会があった。

その人とは初対面で、私の住所も名前も言っていないのに、「あなたは、○○に住んでいる黒井詩歌さん(←妹の名前)と何か関係はありますか?」と聞いてきた。

「黒井詩歌は、私の妹です」

「ああ、そうですか。やっぱり。あなたの顔をみたら、私の脳の中の黒井詩歌さんの場所が、ピーンと鳴ったので、姉妹かなと思ったのです」

びっくり~。

十年も前に担任していた生徒の顔と住所を覚えているのだ。

ちなみに、私と妹は、顔がそっくりではない。

全く同じでなくても、「特徴が近い顔」を選べるんだね。

見当たり捜査員の頭の中も、覚えた写真の顔と全く同じでなくても、似た感じの顔を見つけたら、ピーンと鳴るのかな。

機械よりも、すごいね。

そういえば、脳をメモ帳のように使う人も、いた。

以前住んでいたところでは、ワゴン車のパンの移動販売があった。

売り切れを防ぐのに、次回の注文を取っていくのだが、その人はメモを取らなかった。

「次は、レーズンパン5枚切り二斤とアンパン2個お願い」「私は、普通の食パン4枚切り一斤とサンドイッチ用一斤」「私は前回と同じで、山型食パン5枚切り2斤」……こんな複雑な注文を、その人は、ちょっと上目遣いで指を動かす動作をして、覚えてしまっていた。

頭の中に、メモ帳やアルバムがあったらかっこいいね!

私も欲しいよ。

ぼんやりした映写機しか、入ってないんだ。

でも、私は、生活するだけなら、記憶力は良いほうだ。

インターネットをしていて、いろんなサイトにログインする時のIDやパスワードは複数あるけど、全部覚えている。

頭で「あれ、ここのパスワードは何だっけ」と思っている間に、指がキーをたたいている。

(本以外の)探し物は得意なほうだ。

頭で「あれ、○○はどこに片付けてのかなあ」と思っている間に、手がクローゼットを空けて引き出しを開けて、○○をつかもうとしている。

手が、感覚で、覚えているのかもしれない。

もしかしたら……私の脳は、手首の中にあるのかもしれない。

(本は、客が来たときに、急いで隠す習慣があるので、「手首」も置き場所を覚えることはできない。)

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