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プロの仕事

スーパーで販売員がフランスパンを二ミリぐらいの薄さに切り、それを小さく切り、ほんの1~2滴のオリーブオイルをたらしていた。
食べてみたら、ほんのり塩味がしておいしかった。

おいしかったけど、パンが小さすぎる!
もっとたくさん食べたい!

そのパンとオリーブオイルを買って帰った。
パンを手でばりっとちぎって、オイルをたっぷりかけると……ぜんぜんおいしくない。
オイルに味がしない。
パン用オリーブオイルと書いてあったから香辛料が入っていると思ったのに、家にあるオリーブオイルと同じ味だった。
あの味はどこに消えたのだ。

はっと気が付く。
きっと販売員がしていたように、薄ーく小さいパンに少しだけオイルを付けないと美味しくないんだ!
困ったことに、私の包丁は長年研がずに使っているので切れにくい。
でも指も切れにくい愛しい包丁である。

ああ、そういえば販売員はぎざぎざのパン用ナイフを使っていたなと思い出し、百均の店に行った。
今は何でも売っている。
パン切りナイフと砥石もミニサイズが売られていた。
しかしミニといえども、パン切りナイフは大きい。
これを台所に置いておくのは、少し悩む。
物を少なくしてすっきり暮らしたいと思うお年頃だ。

砥石なら持っている。
研ごう。
なぜ持っていたかというと、色のきれいな石を砥石で削り、サンドペーパーで磨き上げてペンダントにしていたことがあったのだ。
片面はボコボコだが裏側はまっすぐだったので、怪奇映画の妖怪が包丁を研ぐシーンをイメージしながら、シャーコシャーコと研いだ。
私は器用貧乏なので、包丁はフランスパンを二ミリの薄さに切れるまでによみがえった。

さあ、味はどうだろう。
……おいしい。
ふっふっふ。

あの販売員はプロの仕事をしたのだな。

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