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頑張れアクセル!

読書の秋なので、ノーベル賞作家の本を読む。
カズオ・イシグロの「忘れられた巨人」だ。

★ネタバレ注意!★

読みやすいファンタジーだったが、ものすごくイライラした。

作中に何度か、船頭が登場する。
島に渡りたいと夫婦が来ると、船頭は「一番大切に思っている記憶」を一人ずつ話させる。
「一番大切に思っている記憶」を話すとき、人は本心を隠すことなど不可能であると船頭は思っているらしい。
「年月を超える不変の愛」を見たときは、二人を島に渡す。
不変の愛が無いと判断した時は、片方しか渡さない。
しかも、騙して一人目を渡し、もう一人は放置してまちぼうけさせるというひどい仕打ちである。

人間は個性がある。
口下手な人もいる。
ツンデレな人もいる。
わずかな言葉だけで全ての人の心の中が分かるわけがないだろうがーーーーっ!
船頭ムカつくっ!!!!
この○○ーーーー!!!!

この小説のラストは、読む人によって違うようだ。
第十七章は、船頭の視点で書かれていた。
あの腹黒船頭が、アクセルとお姫様両方を島に渡すはずがないと私は思う。
ラストでアクセルが船頭を無視したのは、きっと腹黒さを見抜いたからだ。

頑張れアクセル!
船と櫂を手に入れろ。
自力で渡れ!
島は近いぞ!

皆様はどんな判断をしたのだろうかと、感想を見て回るとびっくりした。
「あの島は、彼岸だから一人でしか渡れない。死んだ時にしか渡れない」という意見が複数あった。
……そういう風にも思えてきた。

あの島はアーサー王のアヴァロンがモデルだという意見もあった。
……そういう風にも思えてきた。

でもでも、あの島が彼岸だとしたら、二人に不変の愛があったら寿命がある人も三途の川を渡らせるって、変だと思う。
やっぱり彼岸じゃないと思いたい。

頑張れ!ウルトラスーパーお爺ちゃんアクセル!
船なんか必要ないよ!
泳いで渡れ!
アヴァロンでお姫様が待ってるよ!

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