店を出た三人は、一言も言葉を交わすことなく来た道を戻った。 役目を果たしたヨシムネはいくぶんさっぱりした顔をしていたが、ミハイルはいつも無表情な顔からさらに表情をなくしていた。タイチャルは慰めるつもりか、酔ったふりをしてミハイルの腕につかまっていた。 港に帰り着くと、アンドラス号の前で何人かが右往左往しているのが目に入った。 何やら様子がおかしい。「船長! ミハイル!」 三人の姿を見つけてイタロが駆け寄ってきた。「たいへんだ! ライナーがいなくなった……!」