記事一覧

もやもや

★ネタバレ注意★

村山早紀さんの「桜風堂ものがたり」を読んで、もやもやしている。

>百貨店内の書店、銀河堂書店に勤める物静かな青年、月原一整は、人づきあいが苦手なものの、埋もれていた名作を見つけ出して光を当てるケースが多く、店長から「宝探しの月原」と呼ばれ、信頼されていた。しかしある日、店内で起こった万引き事件が思わぬ顛末をたどり、その責任をとって一整は店を辞めざるを得なくなる。傷心を抱えて旅に出た一整は、以前よりネット上で親しくしていた、桜風堂という書店を営む老人を訪ねるために、桜野町を訪ねる。そこで思いがけない出会いが一整を待ち受けていた……。
>一整が見つけた「宝もの」のような一冊を巡り、彼の友人が、元同僚たちが、作家が、そして出版社営業が、一緒になってある奇跡を巻き起こす。 (amazonに書かれていた内容紹介より)

この本を読んだ人の感想を回ってみると、ほとんどの人が高評価である。
私も心温まるいいお話だとは思う。
でも、もやもやする。

私は、気に入った小説を主人公の父になった気分で読む。
可愛い息子(月原)にダメージを与えた者は、ドカンと反省しないとスーッとしないのだ。

中学生がいじめで万引きを強要されて見つかって、月原に追われて道路に飛び出して交通事故にあった。(死亡はしていない)
事故の写真を撮られて月原の姿もネットに流された。
「その本屋も、たかだか本と中学生の命と、いったいどっちが大切だと思っているんだ」
本屋には苦情の電話がかかり、「人殺し」と書かれた手紙が届き、店には「まだ店を辞めてなかったんだな」と少年たちが来た。
月原は思った。
ひとは自分が正義の側にたっていると思うとき、容赦なく言葉のつぶてを投げつけることができるのだな、と。

正義「人間の社会行動の評価基準」って、国や宗教によっても違うよね。

昔、古書店で万引きをした少年が逃げて電車に接触して死亡した事故を思い出した。
古本屋の店主は、月原と同じようなことをされたらしい。
人が複数いれば、価値観が違う人もいるだろう。
検索してみたら、「古書店主は少年の万引き犯に配慮をすべきだったか」とあるサイトでアンケートを取ったところ、古書店主が悪いという人が1%ぐらいいたそうだ。
(すでにリンクは切れていた)
私も当時mixiの日記を回ってみたが、古書店主が悪いという人は、ほとんどいなかったが、……ほんの少しはいた。
少数派が嫌がらせをしたのだろう。
ナンバーディスプレイや防犯カメラの内容によっては、警察に通報してもいい場合もあるだろう。
古書店主を励ます人のほうが多かったのだが、古書店主は鬱状態になった。

私も、強盗に大切な人を人質にされて「警察に知らせず万引きしてこい」と言われたら、してしまうかもしれない。
でも、それでも、「人のものを盗んではいけない」というのは、複数の人達が生きていくために守らなくてはいけない社会のルールなのだ。

いろんな考えがあっていいと思う。
しかし、それを行動にしたものが人を傷付けるなら、「人間の社会行動の評価基準」で罰せられることもあるだろう。

私も多数派だ。
非常に不愉快な人達が小説の最初に出てきて反省もすることなく消えてしまったことに、もやもやする。

しかし「桜風堂ものがたり」を読んで、もやもやしている人は少数派だった。
くうううううーーーっ。
立場が弱い。

ここに、こっそりと感想を書いておく。

コメント一覧