BL◆父の肖像
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     * * *

 熱が下がると、あとはけろりとしていた。
「もー、拓ちゃんたら。あたしたち、今日お見舞いに行く予定だったんだよ?」
 お母さんからお見舞い用のケーキ代ももらったのに、と久美子が頬をふくらませて言った。
「村野はさあ、ケーキ食いたかったんだよな?」
 雅俊がにやにやして言いつける。
「あそこのケーキ屋がいいの、どのケーキがうまいの、さんざん言ってたもんなあ」
「マーくん!」
 こぶしを振りあげて怒る久美子に、雅俊が頭を抱えて逃げるまねをする。
 久しぶりに楽しくなった拓見は、笑いついでに提案した。
「じゃあさあ、二人とも、今日の放課後うちへ来ない? 全快祝いってことで」
「えっ、いいの? お父さんに迷惑じゃない?」
「ううん、連絡しとけば大丈夫だと思う」
「あっ、決まり決まり、そうしよう!」
「よかったなあ、村野。ケーキが食べられて」
「マーくんのばかッ!」
 久美子の蹴りが雅俊の向こうずねに決まった。
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まろやか連載小説 1.41