BL◆MAN-MADE ORGANISM
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第1章/人に造られし者
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 デイルたちは非合法の輸送船を一隻チャーターしていた。船腹に〈アンドラス号〉という船名と、梟の頭を持つ天使の姿が描かれたオンボロ船だ。
 一行がタラップに近づくと、乗組員らしい男が酒で赤くなった顔を突き出した。
「積み荷は何でェ」
「S級犯罪者が一名」
 デイルが冷ややかな声で答えた。
「それから、逃亡セクサロイドが一体」
 船の中では、いずれ劣らぬ荒くれ男たちが待ち構えていた。体格が並外れているばかりではない。飢えた獣のようにぎらぎらした目、ふてぶてしい態度、顔にも腕にもついた無数の傷跡。一見しただけで、どれほどの修羅場をくぐりぬけてきたか容易に想像がつく。
「いよーゥ、こりゃまた、どえらいおジョーさまだぜ」
「ヒューヒュー」
「男いっぱい引き連れて、いいご身分だねェ」
 さかんに野次を飛ばす男たちに向かって、デイルは一種妖艶な微笑みを浮かべた。とたんにその場が、さっと水を打ったように静まり返る。
「頼んでおいたセクサロイドの専門医は?」
 医者が連れてこられると、デイルは枷で拘束されたライナーを突き出した。
「これを預けるわ。まっさらの未調整品よ。目的地に着くまでに、念入りに調整して、よぉく仕込んでおいてちょうだい――前も、後ろもね」
 アンドラス号は惑星シームルグを出航した。
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