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見返り美人

草むらに野良猫がいる。

毛は泥で汚れていて、痩せている。

「汚い猫だな」

私の視線を感じた猫が、振り返った。

ものすごく可愛い。

ペルシャ系で目は大きい。

「失礼ね。私、可愛いでしょ?」

そう思っているような、顔だった。

多分、顔も痩せているのだけれど、ふわふわの毛でカバーされているのだろう。

でも、なぜ、顔の毛だけ、ふわふわなのか。

顔だけ、気を使っているのか。

できるものなら、全身洗って、お腹一杯にして、ぬくぬくと昼寝をさせてあげたい。

猫は、走り去った。

とっても切ない、秋の夕暮れ。

腐魔女

私は、以前、「魔女の実験室」で、つぶやいていた黒井美花。

電波はビンビンに出しているみたい。

多分、静電気体質だからかな。

道を歩いているだけで、前を歩いている人が、私の存在を感じて振り返る。

別に、見つめていたわけじゃない。

私は、他人の視線って、全然分からない。

後ろに人がいるのに気がつかないで、「わっ」とびっくりして、その声でびっくりさせてしまう。

金縛りには、ならない。

第六感は、当たらない。

幽霊は見えない。

でも、松浦さんが、私の事を、魔女と呼ぶから、魔女。

静電気体質で非霊媒体質の腐魔女。