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救う側の都合

この冬、ドラマは二つ見ていた。
「明日、ママがいない」と「Dr. DMAT」だ。
「S-最後の警官」は主人公が気に入らないので2話で止めた。

過酷な現場で医者が大活躍するドラマだと思い「Dr. DMAT」を見ることにした。

>生か、死か…10秒の迷いでひとつの命が消えてしまう──。
>災害現場の限られた条件下で“命を繋ぐ”究極の人間ドラマ(公式HPより)

しかし、主人公・響は活躍する前に悩みまくっていた。

一話の感想

早く決めてーーーーーっ!
決められないなら、レスキューの人が決めてっ!
……、疲れた。

二話の感想

早く決めてーーーーーっ!レスキュー隊が焼け死んじゃうーーーっ!
……心臓に悪いよお。

三話の感想

うーーーーーーん。
響は内科医のほうが合っているような気がする。

見ているとストレスを感じるので、原作の漫画を読んで見ることにした。
ドラマの内容が分かりすぎるのも嫌なので1巻だけ読んだ。

ストーリーはあまり変わらないのに、響がとても有能だった。
漫画は自分のペースで読むので、主人公が悩んでいるページは一秒でめくってしまうし、主人公の観察力を誉めているページはしばらく見ているからである。
響は「本当はできる子」なんだな。
ドラマをもう少し見ることにした。

四話の感想

>自分の殻に閉じこもっているだけでは救える命も救えない。柏木を救えなかった後悔から響(大倉忠義)はERに戻り、緊急治療や外科の処置を貪欲に学ぶようになった。しかし以前もいたとはいえ、内科医の響には難しい処置ばかりで小曽根(佐藤二朗)に叱られる毎日。そんな有栖川総合病院では、新しく加わった医師・伊勢崎紅美(市川実日子)が波乱を巻き起こしていた。紅美は伊勢崎院長(國村隼)の娘で、“神の手”を自任するアメリカ帰りの脳外科医。その腕は確かなのだが外科部長の承認もなく独断で開頭手術をするなど問題が多い。そんな紅美は響に対しても容赦なく、自分なら春子(瀧本美織)を救えたと言い切る。(公式HPのあらすじより)

「私、神の手ですから」と伊勢崎紅美が登場した。
ドクターXに似てるなあと思ったが、大門先生が礼儀正しかったと思うような紅美だった。
大門先生は「私なら救えます」と言うが「私なら救えた」と過去形では言わなかった。
「紅美って嫌な奴~」と思ったが、彼女はDMAT勤務で最初は戸惑ってすぐ諦めようとしたが、すぐ現場に馴染みバリバリ活躍しだした。
ハッキリ言って、響より紅美のほうが魅力的だ。

五話の感想

>現場に到着した響たちは救出された女性1名と幼児1名の処置を始める。別に発生した事故で救急車の到着が遅れている。そして2人ともトリアージタッグは赤。命にかかわる重症だ。処置を続けるうち、母親・佑子(長谷川真弓)が意識を取り戻した。佑子は朦朧としながらも「息子を助けて」と繰り返す。しかし息子・翔太(須田琉雅)は脈も薄く助かる見込みはほぼない。響は佑子の治療を優先するよう指示を出す。しかし、長谷川は響の指示に背き翔太の治療を続ける。響は救える人から救わなければ誰も助けられないと怒鳴るが、長谷川はそれは救う側の都合で母親は望んでいないと突っぱねる。
>到着した救急車で有栖川病院のERに搬送された佑子は一命を取り留めた。しかし意識を取り戻した佑子は全てを知り、翔太を返せと響を責める。
(公式HPのあらすじより)

これは難しい。
医者が二人いれば良かったのだが、響一人だった。
響は幼児を治療しても助けられない可能性が大きいので、状態が良いほうの母親を治療した。
多分、響が正しいのだろう。
10秒迷っていたら、ひとつの命が消えてしまうのだから、母親の言うことを聞いているうちに10秒ぐらい過ぎてしまう。
私は「救う側の都合が優先されるのはしかたがない」に一票を入れよう。
でも響だけでは治療がスムーズにできないので看護師・長谷川が協力しなければいけないのだが、母親の望みを聞いて幼児の心臓マッサージを続けた。
看護師の気持ちも分かる。
分かるが治療にはチームプレーが必要なので、プロとしては良くないと思う。

母親が病院で意識を取り戻してから「私はいいから息子を助けてと言ったのに」と言うと、響は「私の判断です」と答えた。
そんなことを言ったら「私が治療を受けたので、息子が受けられず死んでしまった」と一生母親が苦しむような気がする。
黙っているのが苦しいタイプらしい。
「できる限りのことはしましたが、息子さんは傷が重くて救えませんでした」と言ったほうが良かったと思うんだけどなあ。

事故現場に医者が助けにきてくれるのは非常にありがたいことだ。
「救う側の都合が優先される」と思うので、私がもし事故にあった場合、重症でも気合で意識を持ち続けることにする。
それで嫌な時は医者があきらめるまで「やだーーーーーっ!」と言うんだ。