去年の5月、新型インフルエンザの流行で、世の中がマスク不足になった。
インターネットをしていない親戚から、オークションで手に入れて欲しいと頼まれた。
オークションは非常に高額なので、1週間先に入荷予定の衣料品店のHPを見つけて予約した。
50枚の箱入り。
HPのマスクの箱の写真を見ると、日本語の文字が無かったので、少し不安だった。
私は、花粉症用のマスクが残っていたので、周囲がマスクをしている場所では、マスクを着用した。
でも、周囲がマスクをしていない場所では、「合わせたほうがいい」と、マスクをはずした。
マスクをしたくても持っていない人達の前で、自分だけ、できないもーん。
スーパーの店内などでは、誰かが咳をすると、冷たい視線が集中し、空気がキリキリ凍った。
でも、数日過ぎても、私の周囲では、誰も熱を出した人はいなかった。
「マスクをしてなくても、新型インフルエンザにならないじゃーん」と、咳をしている人がいても、みんな平気になった。
新型ではないインフルエンザでも、毎年一万人死亡している。
持病がある人には、どんなインフルエンザでも怖い。
そのうち、サージカルマスクが届いた。
中国製で、在庫を急いでかきあつめて送られてきたものらしい。
紙の箱は、しわだらけで湿っていて裂け目があり、マスクも湿っていて、鼻と口が透けて見えるほど薄く、油っぽい臭いがして、枚数が少なくて、黒い細かいごみが挟まっていた。
びっくりして、購入店の評価を見た。
私と同じ状態のマスクが届いた人が、複数いた。
他にも「虫が入っていた」「マスクが、まとめて輪ゴムでくくられて箱に入っていた」「50枚のはずだけど、33枚しか入っていない」など、苦情が多かった。
うんうん、虫が入っていなくて、良かった。
この時期になると、私の周囲では、マスクをする人はほとんどいなくなっていたので、気持ちに余裕があった。
2ちゃんねるのマスクスレッドに行って、いろいろ教えてもらった。
★マスクバブルで、マスクを扱いなれていない衣料品店や食料品店が、メーカーが特定できないマスクを輸入して売ったので、衛生状態の悪い物も混じる。今までマスクを販売していた店で、信頼できるメーカーの製品を買うこと。
★不織布のマスクは、湿気や臭いを吸収しやすい。紙の箱に、そのまま複数枚入っていることが多いので、日本に到着してからでも、輸送中や保管中に湿気や臭いを吸収してしまうことがある。
★マスクの紐の中のゴムは空気で劣化する。二年以上たつと、使用中に紐が切れてしまうことがある。長期保存するには、真空パックにしておくとよい。
「今、□□で△△マスクが売ってるよ~」という情報も貰えたので、親戚のために「透けていなくて、湿っていなくて、ごみが入っていなくて、変なにおいがついていないマスク」を手に入れることができた。バンザーイ!
ただ、親戚の周囲でも、そろそろマスクが必要なくなってきたようだった。
押し入れにしまい込めば、湿気と臭いを吸収して使えなくなってしまう。
もったいない。
それで、小分けにして、真空パックしてから、渡した。
半永久的に保存可能。
とりあえず、次回、マスクがエチケットとして必要な時が来ても、用意はできた。
親戚には「さすが美花ちゃん!」と、喜ばれた。
念のために言うが、「真空パックする時に、美花の手の細菌がマスクにつくかもしれない」と心配する人もいるかもしれないが、もちろん、消毒石鹸で手を洗って、ビニール手袋をしていた。
ちなみに、テレビでマスクの箱詰めの様子が放送されたことがあるけど、素手でマスクを詰めていたよ。
去年のインフルエンザ流行中は、子供と高齢者と持病がある人以外、予防接種が受けられなかった。
それで、私は予防接種は受けなかったが、うがいや手洗いや食事に気をつけていたので、風邪もひかずに、健康的に過ごせた。
今年の予防接種は、悩んだけれど、……接種した。
とりあえず準備完了、食欲の冬。